【牛肉の食品表示】個体識別番号、生食用の表示、和牛の定義を知っておこう。
こんにちは。やさしい食品表示ラボです。
食品を販売する上で、食品表示はなくてはならない表示になります。
アレルゲン情報や添加物の有無など、消費者が購入する上で判断できる情報が食品表示には詰まっております。正しい食品表示を商品に記載することが事業者は求められ、消費者は食品表示の知識を得て、生活上で活用することが望ましいです。
前回より、食肉の表示項目(包装品および無包装品)に着目してまとめてみました。今回は、牛肉に必要な表示項目と必要な表記ルールについてまとめていきたいと思います。牛肉を扱う場合、個体識別番号、生食用の表示、和牛の表示を正しく知っておく必要があります。
本記事で学ぶ内容
- 牛肉の表示項目がわかる。
- 個体識別番号についてわかる。
- 生食用食肉(牛肉)の表示がわかる。
- 和牛の定義がわかる。
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生鮮食品とは
生鮮食品とは、加工食品および添加物以外の食品と定義されております。水洗い、切断、冷凍したものが該当し、食肉を合挽きしたり、ブランチングした上で野菜を冷凍したものは、加工食品になります。
生鮮食品のうち、加工食品の原材料となるものを業務用食品といい、それ以外のものは、一般用生鮮食品と呼ばれます。
生鮮食品は3つに分類されるよ
生鮮食品は、水産物、畜産物、農産物に分類されます。それぞれ表示に特徴があり、少しずつ抑えておきましょう。
水産物、畜産物、農産物の表示例は下記のページをまとめております。勉強してみましょう。
一般消費者向け生鮮食品に必要な表示項目
一般消費者向けの生鮮食品の食品表示例では、必要な表示項目は「名称」と「原産地」になります。(横断的義務表示になります)
商品によって、「放射性照射に関する事項」「特定保健用食品に関する事項」「遺伝子組換え農産物に関する事項」「乳児用規格適用食品である旨」「内容量」などの表示が必要になります。(個別的義務表示になります)個別的義務表示に関しては、該当する生鮮食品と一緒に覚えておけば問題ありません。
表示項目 | 一般消費者向け生鮮食品 |
名称 | すべて |
原産地 |
食肉の表示に関するルール
前回、食肉の食品表示項目をまとめてみました。
食肉の食品表示は商品が容器包装されているか、容器包装されていないかによって表示領域が異なります。その上、牛肉に関して牛肉特有の表示項目があり、今回はそちらについてまとめております。
牛肉の特有の表示に関するルール
ここでは、牛肉特有の表示ルールを押さえてましょう。牛肉を販売する場合、押さえておかなければならない表示ルールが下記の通りになります。
- 個体識別番号
- 生食用牛肉の表示
- 和牛の表示 etc
特定の牛には、個体識別番号の表示が必須
特定の牛肉には、牛トレーサビリティ法により10桁の個体識別番号を表示する必要があります。ただし、個体識別番号には牛肉の表示対象があり、国内で飼育していない輸入牛肉は対象外になります。また、部位によって異なります。
- 国内で出生し飼養された牛
- 海外から生体のまま輸入し、日本で飼養された牛 etc
上記の牛であっても、表示対象とならない部位があります。挽肉、レバー、モツなどの内臓肉、舌、頰肉、細切れは対象外で表示の必要ありません。牛肉を原料または材料とした製造品・加工品または調理品なども対象外になります。
食中毒事件をきっかけに生食用牛肉の表示基準が制定
2011年4月に発生した飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌により食中毒事件を受け、罰則を伴う強制力のある生食用牛肉の基準が制定されました。
生食用の牛肉に関して、下記の通り表示する必要があります。
- 「生食用」「生で食べられます」などと、生食用であることを示すこと(ユッケ用、牛刺し用は不可)
- とさつまたは解体されたと畜場の所在地の都道府県名(輸入品にあっては原産国名)およびと畜場の名称
- 加工が行われた施設の所在地の都道府県名(輸入品にあっては原産国名)およびと加工施設の名称
- 「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあります。」「食肉(生食)は、重篤な食中毒を引き起こすリスクがあります」などと、食中毒のリスクを示すこと
- 「子供、高齢者、食中毒に対する抵抗力の弱い方は食肉の生食をお控えください。」「お子様、お年寄り、体調のすぐれない方は、牛肉を生で食べないでください。」など、食肉の生食の注意喚起を示すこと
上記の表示項目に関しても、容器包装されているか、されていないかで表示項目が変わります。
容器包装の有無 | 表示項目 |
容器包装で販売 | 1〜5の全て |
容器包装なしで販売 | 4〜5
店舗の見やすい箇所(店頭掲載、 メニューなど)に表示 |
和牛表示は、牛の品種が定められている
和牛と表示できる牛の品種が「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」「食肉の表示に関する公正競争規約」により、決められております。
- 黒毛和種
- 褐毛和種
- 日本短角種
- 無角和種
- 1〜4の品種間の交配による交雑種
- 5と1〜5の交配による交雑種
以前は外国産の上記品種も牛肉も「和牛」と表示できましたが、下記の要項を満たさないと表示することができません。
- 上記の1~6の品種であること
- 国内で出生し国内で飼養された牛であること
和牛と表示できる牛は厳格に定められているため、和牛のブランドが担保されております。
「和牛」と類似した表示名称は可能になります。
→「WAGYU」「わぎゅう」「ワギュウ」etc
まとめ
今回は、牛肉に必要な表示項目と必要な表記ルールについてまとめてみました。
和牛の牛肉は、飼養コストだけでなく、表示するために管理コストもかかっているため、コストも高くブランドがあることが分かりますよね。
ここがポイント
- 牛肉特有の表示項目は、個体識別番号、生食用の表示、和牛の表示がある。
- 個体識別番号は、国内で出生し飼養された牛だけでなく、海外から生体のまま輸入し、日本で飼養された牛にも表示が必要
- 生食用牛肉の表示の厳格化は、食中毒事件がきっかけ。
- 外国産の牛肉は、和牛の表示はできない。