【牛乳・乳飲料の食品表示】7つの飲用乳と成分規格を抑えた上で表示をつけよう。
こんにちは。やさしい食品表示ラボです。
食品を販売する上で、食品表示はなくてはならない表示になります。
アレルゲン情報や添加物の有無など、消費者が購入する上で判断できる情報が食品表示には詰まっております。正しい食品表示を商品に記載することが事業者は求められ、消費者は食品表示の知識を得て、生活上で活用することが望ましいです。
今回は、畜産加工品である牛乳・乳飲料の必要な表示項目と必要な表記ルールについてまとめていきたいと思います。
本記事で学ぶ内容
- 畜産加工品である牛乳・乳飲料の表示項目がわかる。
- 飲用乳の種類別名称と成分規格がわかる。
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加工食品とは
加工食品とは、生鮮食品と添加物以外に該当する食品と定義されており、製造または加工した食品になります。加工食品は、チーズ、カレー(レトルト)、牛乳など、多岐に渡ります。
加工食品のうち、一般家庭用に販売される商品、業務用に販売される商品が分類されております。ここでは一般家庭用に販売される商品の表示について説明していきます。
加工食品は4つに分類されるよ
加工食品は、水産加工品、畜産加工品、農産加工品、加工食品に分類されます。それぞれ表示に特徴があり、少しずつ抑えておきましょう。それぞれの表示例・表示項目は下記のページをまとめておりますので、勉強してみましょう。
一般消費者向け加工食品に必要な表示項目とは
一般消費者向け加工食品の食品表示では、必要な表示項目(横断的義務表示、個別的義務表示)が定められております。横断的義務表示を暗記しておき、個々の加工食品によって異なる個別的義務表示は加工食品に紐づけて覚えておこう。
- 名称
- 原材料名
- 添加物
- アレルゲン
- 原料原産地*
- 内容量
- 消費期限または賞味期限
- 保存方法
- 食品関連事業者の氏名または名称および所在地
- 製造所または加工所の所在地および製造業者または加工者の氏名または名称
- 栄養成分表示
- 遺伝子組換え食品に関する事項 など**
**などと記載しているのは、L‐フェニルアラニン化合物を含む旨、乳児用規格適用食品である旨、特定保健用食品及び機能性表示食品も記載する必要がありますが、指定された食品を販売する場合に限られますので、割愛しております。
*原料原産地表記に関して、食品表示基準が改正され輸入品以外の全ての加工食品について原料原産地の表示が義務化になりました。2022年3月まで猶予期間として定められており、食品事業者はそれまでの間に新たな原料原産地表示を対応しなければなりません。
名称、原産地に関する細かいルールは下記の記事でまとめております。
牛乳・乳飲料の表示に関するルール
牛乳・乳飲料は原材料や無脂乳固形分、乳脂肪固形分などの割合によって7つの種類に分かれています。細かい数字にも注意してみていきましょう。
飲用乳の種類別名称と成分規格とは
「乳」と「乳飲料」に分類されます。
牛乳・乳飲料の表記項目
牛乳・乳飲料の表示項目は、下記の項目が必要になります。
- 種類別名称
- 商品名
- 無脂肪固形分および乳脂肪分
- 原材料名
- 殺菌温度および時間
- 内容量
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法
- 開封後の取り扱い
- 製造所所在地
- 製造者等
- 常温可能である旨 ※常温保存が可能な場合のみ
- 生乳の使用割合
- 原産国名 ※輸入品のみ
*牛乳・乳飲料は、計量法の特定商品に該当するため、内容重量をMLまたはLの単位で、単位を明記して表示します。
牛乳・乳飲料の無脂肪固形分および乳脂肪分について
牛乳・乳飲料の無脂肪固形分および乳脂肪分は、下記の通り表示します。
- 牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳および加工乳:無脂乳固形分および乳脂肪分を表示
- 無脂肪乳:無脂乳固形分及び乳脂肪分(乳脂肪分は含まれる場合のみ)を表示
- 乳飲料:無脂乳固形分および乳脂肪分、乳脂肪分以外の脂肪分(植物性等)を表示
※成分を調整していない主要成分地は、その最低値に「以上」を付ける。
牛乳・乳飲料の原材料名について
牛乳・乳飲料の原材料名について、ルールがあります。
- 牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳および無脂肪牛乳:「生乳100%」と表示
- 加工乳:水を除く、配合割合の高い順から表示
- 乳飲料:使用した乳、乳製品等を配合割合の高い順から表示
※加工乳、乳飲料は、生乳50%以上使用の場合「生乳(50%以上)」、生乳50%未満使用の場合「生乳(50%未満)」と表示しなければならない。
牛乳・乳飲料の保存方法と常温保存に関して
牛乳・乳飲料の保存方法は、食品衛生法では保存方法の定められており、常温商品は除き、「10℃以下で保存すること」等の表示が必要です。
また、牛乳・乳飲料の常温商品の場合、「種類別〇〇」の次に「(常温保存可能品)」の文字を表示しましょう。
牛乳・乳飲料の殺菌温度および時間に関して
牛乳・乳飲料の殺菌温度および時間に関して、それぞれ下記の表示が必要になります。乳飲料の場合、殺菌温度および時間の表示を省略できます。
- 殺菌温度:摂氏75℃以上の場合→実際の殺菌温度を表示 ex,「摂氏95度」「132℃」等と表示 ※「〇℃”以上”」は不可
- ただし、63℃から65℃の間→「63℃~65℃」等と表示可能
- 殺菌時間:実際の殺菌時間を「分」「秒」で表示 ※「〇分”以上”」は不可
牛乳・乳飲料の開封後の取り扱いに関して
牛乳・乳飲料の開封後の取り扱いに関して、下記二つのことを表示しましょう。
- 「開封後は消費期限または賞味期限に拘わらず、可能な限り早く消費する」旨
- 「開封後、保存する場合は、摂氏10℃以下で保存する」旨 ※保存方法の表示に摂氏10℃以下で保存する旨が表示されている場合は省略可能
牛乳・乳飲料の製造所所在地・製造者に関して
牛乳・乳飲料の製造所所在地・製造者に関して、下記の通り表示しましょう。
- 牛乳、加工乳:乳処理場の所在地、乳処理業者を表示
- 乳飲料:製造所在地、製造者
飲用乳では、製造者の表示の変わりに販売者や製造所固有記号で代用することはできません。
牛乳・乳飲料の表示項目におけるその他の留意点
牛乳・乳飲料の表示項目におけるその他の留意点に関して、下記の通りです。注意して表示しましょう。
- 【特濃】【濃厚】等の強調表現:「無脂乳固形分85%以上及び乳脂肪分3.8%以上」の飲用乳には表示可能
- 【成分無調整】の表示:牛乳・特別牛乳のみに使用可能
- 【無果汁】の4つの表示基準
- [無果汁の清涼飲料水等についての表示に適用する場合その旨を表示する
- ②果汁または果肉が使用されない場合→「無果汁」と表示
- ③重量百分率で5%未満の果汁又は果肉が使用されている場合「無果汁」と表示 ※帳簿書類にてその数値を証明することができる場合「果汁〇%」の表示が可能
- ④商標又は商品名の表示と同一視やに入る場所に、背景の色と対照的な色かつ14ポイント以上の大きさの活字で表示する
牛乳・乳飲料のの表示例
では、実際、牛乳・乳飲料の表示例を見てみよう。
●牛乳の表示例
●乳飲料の表示例
まとめ
今回は、畜産加工品である牛乳・乳飲料の必要な表示項目と必要な表記ルールについてまとめてみました。
牛乳には、原材料や無脂乳固形分、乳脂肪固形分などの割合によって7つの種類に分かれています。それぞれの定義を踏まえた上、正しい表示を覚えていきましょう。
ここがポイント
- 種類別名称 … 牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料
- 殺菌温度 … 摂氏75℃以上の場合→実際の殺菌温度を表示 ※「〇℃”以上”」は不可 ただし、63℃から65℃の間→「63℃~65℃」等と表示可能
- 殺菌時間:実際の殺菌時間を「分」「秒」で表示 ※「〇分”以上”」は不可
- 保存方法 … 10℃以下(常温商品は除く)
- 製造所所在地・製造者 … 飲用乳では、製造者の表示の変わりに販売者や製造所固有記号で代用不可。